矯正歯科

部分矯正なら低コスト!気軽にできる部分矯正治療とはどのようなもの?

皆さんは、歯列矯正に対して「歯全体を一気に矯正しなければいけない」という印象を持っていませんか。歯列矯正の経験がある方や、町で歯列矯正のためにブラケット器具を装着した方を目にした経験のある方は、歯列矯正とは歯列全体を一気に矯正するものであるという印象を持つことが多いようです。

 

歯列矯正は、一気に上下全ての歯列を矯正しなければいけないというわけではありません。費用や歯列の状況、患者様の希望に合わせて、一部の矯正をするという「部分矯正」という方法もあるのです。低コストで気軽にできる歯列の部分矯正治療についてお話します。

 

■部分矯正とは?よくある部分矯正への疑問を簡単解説

 

歯列矯正というと、どうしても上ないしは下の歯にワイヤー(ブラケット)を装着し、歯列そのものを治療するという印象があるようです。特に、子供の頃に歯列矯正をして現在は大人になっている方や、歯列矯正治療を経験したことのない方に、こういった印象があるようです。だからこそ、歯列矯正治療には「一気に歯列を治療するから高額になるのでしょう?」「歯列そのものを治療するからこそ長期間器具を装着して、歯科医院に足を運ばなければならないの?」という疑問が頻出します。当院でも、歯列矯正治療を希望される患者様からよくご質問を受けます。

 

実は、歯列矯正治療は、必ず歯列全てを治療しなければいけないという治療ではありません。部分的な治療も可能なのです。患者様の希望によって、前歯や奥歯、特定の歯が含まれる部位などを矯正することもできます。この部分的な歯列治療のことを「部分矯正(部分的な歯科矯正治療)」といいます。

 

上の歯列と下の歯列どちらか、あるいは上下どちらかを矯正治療する場合が、皆さんが一般的に連想する歯列矯正治療になります。対してこの部分矯正は、「前歯だけお願いします」「歯が一本だけ飛び出すようになっているので治療したい」という要望に即して行う矯正治療です。

 

「部分矯正はどんな矯正法で行われるのか」「費用や治療期間はどのくらいなのか」そして「どんなケースにおいて部分矯正が向くのか」といった、部分矯正によくある疑問点を明快にします。

 

  • 部分矯正の矯正治療方法とは

 

部分矯正の治療法は、歯列全体の治療と大差ない治療法です。歯の一部に器具などを使い、部分的に矯正を行います。マウスピースでの矯正も可能です。通常の「歯列全体を矯正する治療の一部版」と考えるとわかりやすのではないでしょうか。

 

治療の流れも、歯列を矯正する場合と大差ありません。マウスピースなどの矯正器具によって矯正を行い、定期的に歯科医院へと足を運んでもらうことにより器具の調整を行ったり、歯の状況をチェックしたりします。治療の流れも、「歯列全体の矯正治療の規模縮小版」と考えていただければわかりやすいのではないでしょうか。

 

  • 部分矯正のメリットとは

 

歯列矯正は一般的に上の歯列だけの治療と上下セットでの歯列矯正では、後者の方が高額になりがちです。歯列の状況によって歯列矯正治療以外の処置も必要になるため一概には言えませんが、歯列矯正治療には「矯正する部位が増えると高額になる」という特徴があります。また、歯列そのものを矯正しようとすると、治療に長期の時間が必要になります。治療する部位が少なくなると、それだけ治療期間が短くなるという傾向があります。

 

また、前歯などの人の目に見えるところだけを矯正することもできるため、早く審美面を改善したいという方も、年単位の治療期間を見込むことなく、比較的短期で審美に関わる見える部分の歯を治療できるというメリットがあります。

 

費用をおさえることができる。短期で治療を終わらせることができる。早期に審美的な面で改善を見込むことができる。部分矯正には、以上のようなメリットがあります。

 

  • 部分矯正のデメリットは?

 

部分矯正には「歯列全体を矯正するより短期でできる」「費用をおさえることができる」「急ぎで審美面を改善できる」といったメリットがある反面、デメリットもあります。デメリットとは「口腔内やお口周りのトラブルが完全解決できない」「歯のずれが起こる可能性」「別のトラブルを起こす可能性がある」というものです。

 

歯列矯正は矯正をしながら上下の歯の噛み合わせや全体のバランスを確認しながら進めます。噛み合わせが悪いと頭痛や肩こりの原因になったり、将来的に歯の亀裂や顎の骨の歪みの原因になったり、顎関節症などに繋がる可能性があります。将来的なリスクや口腔とお口周りの健康を考えて歯列矯正治療が進められます。ただ、これはあくまで全体の歯列矯正を行った場合です。

 

一部だけの歯列矯正だと、歯全体のバランスを取ることが難しくなります。あくまで患者様のご希望の歯の矯正が中心となりますので、その歯の中心はなるべく噛み合わせがよくなるよう、バランスが取れるように処置しますが、あくまで部分的なものになります。よって、一部矯正によって口腔内の歯列のお悩みが解消されるというわけではありません。歯列全体が乱れているという場合は、部分矯正だけでは対処できません。

 

また、一部だけを矯正することにより、将来的な健康リスクや、歯列がずれてしまうといったリスクもあります。一部のみを処置することにより、顎や歯に力がかかってしまい、痛みの原因になることがあります。また、部分矯正はあくまで「特定の部分だけの矯正」であるため、治療した部位を含めた歯の使い方によっては、歯列のずれに繋がってしまうことがあります。

 

一部矯正にはメリットもある反面、デメリットもあります。歯列全体を矯正した方がいいのか、それとも一部矯正でも対処できるのかは、それぞれの患者様の過去の治療状況や歯列の状況、お口の中の状況によります。

 

  • 部分矯正はどんなケースに向くの?

 

部分矯正は、「過去に歯列矯正をしたことがある」「歯並び全体は悪くないが、歯の一部だけ矯正が必要」「歯を矯正したいけれど、費用をおさえたい」といったケースにおいて向く治療法です。

 

過去に歯列矯正治療を受けていても、歯や顎の使い方によっては歯列が乱れてしまうことがあります。また、加齢により歯が抜けてしまったり、虫歯や歯肉炎によって歯のダメージや傾きが発生していたりすると、悪い部分を起点に歯列が乱れてしまうことがあるのです。一度歯列矯正治療をしても、その後の口腔内の状況によっては、再度歯列矯正治療が必要になることがあります。再度の歯列矯正治療の場合、歯の状況を見て全体を矯正する必要や、インプラントなどの別の治療法が向く場合もありますが、歯列の一部のみ矯正することで対処できるケースも多々あります。このようなケースでは、部分矯正が効果的です。

 

また、歯並び自体は問題ないけれど、一部の歯のみ問題があるというケースでも、部分矯正で対処できることがあります。その一部の歯のみ矯正すればいいわけですから、歯列全体を高額な費用をかけて治療する必要はありません。ただし、自分では一部の歯だけが問題だと思っている場合でも、歯科医師が診察すると問題が歯列全体であることも少なくありません。

 

費用や歯列の状態、過去の治療状況などを踏まえて一部矯正で対処可能かどうか、歯科医師と相談しながら治療することをお勧めします。

 

  • 部分矯正が向かないケースとは

 

部分矯正を希望しても、部分矯正を推奨できないケースもあります。「部位の矯正ができない場合」や「全体を矯正した方がいいと歯科医師が判断した場合」「一部を矯正しても、すぐに矯正治療し直しになる場合」がこれに当たります。

 

例えば、前歯だけ矯正して、笑顔を綺麗にしたいと患者様が希望なさったとします。しかし、歯列をチェックすると、前歯だけ矯正することが難しいと歯科医師が判断しました。前歯が傾いではえているケースでしたが、前歯を正常な位置に矯正するための歯のスペースが足りなかったのです。このような状況では、一部だけを矯正したいという希望があっても、歯の状況によって一部だけの矯正が難しくなります。歯のスペースを調整するためには、歯列全体を矯正しながら、歯科医師が調整する必要があります。部分矯正だけでは難しいという判断です。

 

一部矯正が可能ではあるが、矯正してもすぐに矯正し直しになる可能性があるケースでも、一部矯正は向きません。

 

  • 部分矯正に必要な治療期間と費用は?

 

部分矯正の期間は歯の状況にもよりますが、半年ほどが目安になります。歯列全体を矯正する場合は年単位の期間を見なければいけませんが、部分だけを矯正するだけなら、全体の矯正治療よりも治療期間が短くなります。

 

費用は、部分矯正に入る前に別の処置が必要かどうかによっても変わります。矯正期間によっても変わりますので、一概に「これくらいの金額」と断定することはできません。大よその目安で、歯列全体を矯正した場合の2/3程度と言われます。ただ、前述したようにかなり個人差があるので、「上の歯列全体の矯正で60万円くらいと言われたから40万円だ」と単純に算出できるものではありません。

 

治療費については、歯列の状況を歯科医師にチェックしてもらった上で、見積もりを作ってもらったり、大体の目安額を教えてもらったり等の方法をお勧めします。美容や審美目的の歯列矯正では医療費控除(国税庁HP)や国民健康保険などの各保険を使うことはできません。ただ、不正咬合の歯列矯正を目的とする場合などには、対象になる場合があります。費用については治療がはじまる前に明確にしておきましょう。

 

■最後に

部分矯正とは、歯列全体ではなく、歯のごく一部を矯正する治療法です。方法は全体的な歯列矯正と同じく、マウスピースなどの歯列矯正用の器具や道具を装着して治療する方法が一般的です。費用も歯列全体を矯正するよりおさえることもでき、治療期間も歯列全体の矯正治療より短期で済むというメリットがあります。また、前歯などの審美面で特に重要な目に見える部分の歯をお手軽に矯正できるというメリットもあります。

 

ただし、一部矯正ができないケースや、推奨されないケースもあります。まずは歯科医師に歯の状況をチェックしてもらい、一部矯正が可能かどうか、全体矯正の方が向くのかどうかを確認しましょう。一部矯正治療への疑問や、歯列矯正治療への疑問などがございましたら、お気軽に当院へご相談ください。

歯列矯正を受ける前に知っておくべき注意点

はじめて歯列矯正を受ける患者様は、不安に感じることが多いようです。歯列矯正は歯を動かして歯並びを治療する方法ですから、「歯を動かす過程に痛みはないの?」「たくさん出血するのではないのか?」「体の他の部位に影響が出たりしないのか?」等のご質問を受けます。また、歯列矯正は基本的に長期に渡る治療です。「どのくらいの治療期間が必要なのか」「会社に通いながら治療することはできるのか」等のご質問もよく受けます。

 

歯列矯正治療をこれから受診する方のために、歯列矯正治療に対してよく当院が受ける問い合わせや質問事項をまとめました。歯列矯正を受ける前に知っておきたい注意点と共に解説していきます。

 

■歯列矯正に関してよくあるご質問と注意点

 

  • 歯列矯正は目に見えて歯並びが悪くないと受けられない治療なの?

 

歯列矯正は「歯を動かして歯並びを美しくする治療」です。また、「歯を動かすことによって、噛み合わせや顎のトラブルなどを総合的に解決する治療」です。

 

歯列矯正には歯並びを改善するという側面から、審美治療という性質があります。同時に、顎関節症や将来的な歯の割れや歪みを予防する予防歯科という性質もありますし、現実に起きている噛み合わせや顎の歪みを歯並びの面から治療するという、現在の口腔内のトラブルの治療という性質もあります。その患者様がどんな目的で治療するのか、なぜ歯列矯正が必要なのかによって、歯列矯正治療の意味が変わってきます。歯科医院で受ける治療の中でも「色々な性質を持つ治療」が歯列矯正なのです。

 

歯列矯正は、具体的に「歯並びの見た目が悪いから」という理由がなければ歯列矯正治療を受けることができないわけではありません。「見た目からはわからないけれど、ちょっと食べ物が噛み難い」「将来的な顎関節症や歯の折れ、割れを予防したい」などの理由でも、歯列矯正治療を受けていただくことができます。

 

自分の歯列に歯列矯正治療が必要かどうかは、歯科医院を受診していただくことにより、歯科医師からアドバイスを受けることができます。また、口周りの痛みやだるさ、肩こりや頭痛などの不調が相次いでいる場合は、歯列矯正で歯並びを改善すると、症状が緩和されるケースがあります。不調の治療がわからないという方は、歯科治療の側面からアプローチすることを検討するため、まずは歯科医師による診察を受けることをお勧めします。

 

  • 歯列矯正は子供の頃に受けるという話を聞くのですが

 

審美、口腔内トラブル、予防をセットにした歯列矯正は、大人・子供に関わらず受けていただくことのできる治療です。子供の時の歯列矯正は医療費控除の対象になる(国税庁HP)ために費用面で子供の頃の歯列矯正治療がお得と言われるため、そして早めの治療によって口腔内や顎のトラブルを未然に防ぐことができる可能性があるため、「子供の頃に(早めに)」と言われるのです。歯列矯正は子供だけでなく、大人が受けてもまったく問題のない治療です。

 

たまに「大人になると歯が完成されてしまって動かすことができないと聞いた」という患者様がいらっしゃいます。大人だから歯を動かすことが難しいというわけではありません。心配する必要はありません。

 

  • 歯列矯正治療は痛いのですか?出血はしますか?

 

歯列矯正を受ける患者様はよく「痛みはどうですか?」「出血はどのくらいしますか?」と心配なさいます。歯列矯正治療は「歯を動かす治療」ですから、心配になる気持ちも理解できます。しかし、それほど深刻に考える必要はありません。もちろん、他の部位に害を及ぼすこともありません。歯科医師が細心の注意を払いながら治療を行います。

 

まず痛みですが、こちらは多少あります。歯列矯正は歯を無理やり動かす治療法だと勘違いされがちです。その想像は間違いです。歯列矯正は、体の回復や再生のプロセスを利用し、ゆっくりと歯を動かす治療法です。現在の顎や歯肉、歯を無理やり金具でぐいぐい押し込んで固定するといった治療法ではありません。

 

歯と歯の周囲の組織を壊して、その再生力を利用して場所を動かすという治療のプロセス上、どうしても鈍痛を覚えることもありますが、患者様の多くは「治療に慣れてくると気にならない」とおっしゃいます。ブラケットを使った歯列矯正を受けている患者様の中には「器具を見て痛みを覚悟していたが、心配する必要はなかったようだ」「最初の頃は痛みより器具が口の中にある違和感の方が・・・」という方もいらっしゃいます。

 

歯列矯正中に痛みなどが発生した場合は、歯科医師に相談していただくことにより処置が可能です。治療の際に注意点として痛みや違和感対策もしっかりお話しますので、過剰に心配する必要はありません。治療を受ける患者様がお子様の場合は、もちろんご両親にしっかりと説明させていただきます。

 

また、よく「出血は?」と心配なさる患者様がいらっしゃいます。歯列矯正では、大急ぎで歯を動かすということはありませんので、一度の治療で体に無理をさせて、血がたくさん出るということもありません。ただし、まったく出血しないというわけではありません。例えば歯列矯正をはじめてすぐの頃は、口腔内の状況によって多少の出血が見られることがあります。歯茎が弱っていたりすると、歯ブラシでも出血することがあります。だからこそ、ちょっとした治療でも出血することはよくあることなのです。

 

歯列矯正治療をする前に、必ず口腔内の状況をチェックします。虫歯や歯肉炎などのトラブルがあれば、歯列矯正の前に「歯列矯正をしても大丈夫なお口の中の状態にする」ために、歯科医師が処置を行います。口の中を健康に回復させて、急激に歯を動かしたりしない。だからこそ、無理な治療で大量出血ということはありませんので、心配なさる必要はありません。

 

体や痛み、出血のことで心配な方は、過去の症例を含めて事前説明が可能です。歯列矯正は期間の長い治療ですので、しっかりと不安を解消して治療に臨むことが大切です。

 

  • 歯列矯正の方法とは?マウスピースによる歯列矯正

 

歯列矯正には、主に二つの方法があります。「マウスピースによる治療」「ブラケットによる治療」です。

 

一つは、マウスピースを使った歯列矯正方法です。歯並びに合わせてマウスピースを作成し、そのマウスピースを装着することにより、少しずつ歯列を動かして矯正します。

 

この方法のメリットは、「歯列矯正装置であるマウスピースを常に装着している必要がない」という点です。家事の合間や寝る前のテレビや読書の時間などに、少しだけ装着するだけでいいので、非常にストレスが少ないです。また、常にマウスピースを装着している必要がないため、会社や学校で歯列矯正中だとバレることがありません。常に装着している必要がないため、ブラッシングもしっかりでき、口腔内の衛生環境にも配慮することができるというメリットもあります。

 

対してデメリット「忘れてしまうこと」や、「歯並びの状況によっては使うことができない」というものです。売僧ピースは常時装着ではありませんから、自分で忘れないように毎日少しの時間装着しなければいけません。すると、「あ、うっかり忘れていた」ということが起きる可能性があります。装着を忘れると、それだけ治療に長い期間を要します。時に、それまでの治療が無意味になってしまうことがあります。

 

歯並びの状況を歯科医師が診断し、マウスピースを使うことが難しいと判断した場合もマウスピースによる歯列矯正をすることができないというデメリットがあります。例えば、極端に歯並びが乱れている場合や、歯並びだけでなく顎の骨が乱れている場合などは、別に治療法を試みることや、先に他の治療をしっかりして、そちらの治療に合わせて歯並びを考えることが重要になります。マウスピースは、比較的歯列の乱れが軽度である場合によく使われる方法でもあります。

 

  • 歯列矯正の方法とは?ブラケットによる歯列矯正

 

ブラケットによる歯列矯正とは、ブラケットという装置を歯に装着し、歯列の乱れを治療する方法です。皆さんは身近で歯にワイヤーのようなものを装着した人を目にしたことはありませんか。一般的に多くの人が歯列矯正といえば銀色のワイヤーを歯に装着するという想像をするようです。まさに、その想像のもとになったのがこのブラケット治療なのです。歯列矯正の中では最も広く認知されていて、最も有名で一般的なのがこのブラケット治療です。

 

ブラケット治療には「治療中は歯に装置をつけっぱなしにしなければいけない」というデメリットがあります。歯列矯正中は常時装着のため、審美面で気にする方がいます。また、歯列矯正中だとバレます。そういった点を気にする方用に透明で目立たないブラケットもありますので、治療に入る前にしっかりと歯科医師と相談しておくことが必要です。

 

常時装着することにより、歯を含む口腔内のケアがし難いという特徴があります。ブラケットをつけているため歯磨きし難く、汚れが残ってしまうことがあるため、口腔内の衛生環境が低下したり、虫歯になったりするリスクがあります。歯列矯正治療の中でお口のケアもしっかり説明しますが、装置をつけっぱなしにするため、お口のトラブルが発生しやすい状況であることを注意する必要があります。

 

ブラケット治療のメリットは、「歯列の大きな乱れにも使うことができる」という点です。時にインプラントや抜歯などの他の治療法と併用することもありますが、ブラケット治療はマウスピース治療では対応できないと判断された歯列の乱れも治療できることが多いです。

 

歯列矯正治療の中でも治療法の希望がある場合は、歯科医師にその旨をはっきりお伝えください。お口の状況や顎の状況を確認し、「その治療法を使っても治療できるか」「その治療法を使うことを前提にお口の中の健康を保つためにはどうすべきか」を歯科医師がしっかりと口腔内を診察した上でアドバイスさせていただきます。

■最後に

 

歯列矯正をする際に注意しておきたいのは「疑問があったらはっきりと確認する」「不安があったら歯科医師に相談する」ということです。今回ご説明した疑問は、歯列矯正に対して多くの方が持つ疑問です。疑問を抱えたまま歯列矯正を進めると、治療中も不安です。時に、医師や治療に対し不信感を持ってしまうこともあるでしょう。

 

歯列矯正を受ける前に知っておくべき第一のことは「相談、確認をしっかり」ということです。今回取り上げていない疑問や不安を持っていらっしゃる方や、さらに確認したいという方は、お気軽に当院までご相談ください。過去の症例や具体例を用いて、皆様の歯列矯正に対する不安や疑問を解消いたします。

 

歯並びを矯正する方法と矯正すべき不正咬合の種類

当院には、子供から大人まで、たくさんの方が歯列矯正治療のご相談にいらっしゃいます。「歯列矯正は子供の頃にするもの」と考えがちですが、大人が歯列矯正治療を受けることもできます。近年は特に大人から「歯並びが気になっていて」「子供の頃に歯並びを矯正したのですが、後戻りしてしまって」という相談を受ける機会が非常に多くなっています。「歯科医院に足を運ぶのは虫歯の時だけ」という考え方はもはや過去です。歯の審美に対する意識やニーズの高まりを感じます。

 

大人から子供まで受けていただくことのできる歯並びの矯正治療には、どんな治療法があるのでしょうか。また、歯列の乱れとは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。大人にもニーズの高い歯並びの矯正治療と、歯並びの基礎知識についてお話します。

 

■歯並びはなぜ矯正した方がいいのか

歯並びを美しく整えることは、日常生活をより彩り豊かにしてくれます。なぜなら、歯並びがきちんとしていると、生活や健康にたくさんのメリットがあるからです。

 

歯並びが良いと、食事が楽しくなります。咬み合わせが悪いと、パスタなどの麺類を咬み切り難くなってしまいます。弾力のあるステーキも、咬んでいるうちに歯やあごに負担をかけてしまい、「歯並びのせいで物をかみ砕けず飲み込み難い」「食事の後にあごが痛い」といった事態を引き起こしてしまいます。彩り豊かな生活には「楽しい」「嬉しい」「美味しい」を欠かすことはできません。しかし、歯並びが乱れていると、「美味しい」に直結する食事が負担に感じてしまうことがあるのです。美味しい物をきちんと咬めて、飲み下すことができる。食事の後に歯やあごが辛くない。これはとても大切なことです。

 

また、彩り豊かな生活には、笑顔も欠かすことができません。歯並びが乱れていると、笑うことをためらってしまいませんか。にっこり微笑んだ時に乱れた歯並びが見えてしまうことを気にして、自然な表情を浮かべることが難しくなります。これは、とても残念なことです。歯並びが良いと、楽しい時や嬉しい時に、自然ににっこりと笑うことができるようになります。これも、歯並びが良いことによるメリットです。

 

歯並びは素敵な日常生活にだけ影響を及ぼすわけではありません。歯並びが悪いと、将来的な健康不安が出てしまいます。歯やあごに負担をかけることにより、顎関節症や、歯の割れや欠け、頭痛や肩こりに繋がってしまいます。また、歯並びが悪いと、無理して食べ物を咬もうとしますので、顔の筋肉やシルエットにも影響を及ぼします。食べ物を咬むことが十分にできないため、連鎖的に胃などにも負担をかけることになります。歯並びが良いということは、それだけで、健康面のメリットがあるのです。

 

歯科医院で早めに治療したい口のトラブルは、虫歯や歯肉炎だけではありません。歯列の乱れも、代表的な口のトラブルになります。健康や生活に及ぼす影響や審美を考え、早期に歯列矯正などで治療することが大切です。

 

■歯並びの矯正が必要な不正咬合とは

 

正しい歯並びの矯正とは、「見た目を美しくすること」だけが重要なのではありません。歯並びが乱れている状態とは、正しい咬み合わせになっていない(不正咬合)状態を指します。ですから、正しい歯並びの矯正とは、「正しい咬み合わせに導く」ことを意味します。

 

当院に寄せられる相談に「自分は歯並びを治した方がいいでしょうか」というご相談があります。見た目は特に問題がなくても、きちんとした咬み合わせができていないなら、「歯並びを治した方が良い」という結論になります。また、咬み合わせができている方でも、歯やあごに負担をかけているケースが見受けられます。

 

歯並びは永久歯が生えた時点で決まるのではなく、癖も大きく関係します。咬み合っているから歯並びに問題がないわけではなく、癖でとりあえず咬めているというケースもあります。歯並びの矯正を検討した方がよいかどうかは、第1に、歯科医師に咬み合わせをチェックしてもらい、正しい咬み合わせになっているかどうかを判断してもらうという流れで決めると安心です。

 

ただし、歯科医師が診察するまでもなく、咬み合わせが正しくできていないと、自分自身ですぐに判断できることがあります。「虫歯や歯槽膿漏になりやすい」「発音し難い。特にサ行の発音が難しく感じる」「顔の左右バランスに違和感がある。歪みを感じる」「口臭や歯茎の腫れで悩んでいる」などに心当たりがある場合は、咬み合わせが正しくできていない可能性が高いと考えられます。

 

不正咬合には次のような種類があります。違和感を覚える場合や、次のような種類に当てはまっていると考えられる場合は専門医師の診察を受け、歯並びを矯正する治療を検討することが重要です。

 

① 叢生

「叢生(そうせい)」とは、「八重歯(やえば)」や「乱杭歯(らんぐいば)」などとも呼ばれる不正咬合の一種です。あごの大きさや歯と歯の間のスペースに対して歯が大きすぎた場合などに見られる不正咬合で、歯がちぐはぐに生えたり、生え方に傾きが見られたり、重なるかたちで生えてしまっていたりします。

② 開口

「開口(かいこう)」とは、奥歯は咬み合わさるのに、前歯は咬み合わさらない歯列の状態を指します。これも不正咬合の一種です。小さな頃に指をしゃぶる癖があった方などによく見られる、癖や生活習慣が原因になっている可能性のある歯並びです。

③ 上顎前突・下顎後退症

「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と「下顎後退症(かがくこうたいしょう)」は、「出っ歯」とも呼ばれる不正咬合の一種です。上あごが突出してしまっているために咬み合わせが悪くなっているタイプと、下あごが後退しているために咬み合わせが悪くなっているタイプがあります。どちらも、上あごが前に出ているように見えます。

④ 過蓋咬合

「過蓋咬合(かがいこうごう)」は、上の歯列が下の歯列に重なって、下の歯列が上歯列に覆い隠されてしまうという不正咬合の一種です。上下の歯列が咬み合うのではなく、重なるように見えます。歯列自体は綺麗に見えることもありますが、咬み合わせは問題のある状態です。

⑤ 反対咬合

「反対咬合(はんたいこうごう)」は、「受け口」とも呼ばれる不正咬合の一種です。上顎前突や下顎後退症とは反対で、下の歯列が突出しているように見えるという特徴があります。反対咬合には、下あごが成長して突出してしまっているタイプと、下の歯列が傾いだかたちで生えてしまい、突出しているように見えているタイプがあります。

⑥交叉咬合

「交叉咬合(こうさこうごう)」とは、咬み合わせが横にずれてしまっている不正咬合の一種です。前歯の上の歯は、ちょうど下に位置する前歯と咬み合うことになります。しかし不正咬合の場合、横にずれてしまっているため、前歯ではなく前歯の横の歯と咬み合うことになります。このように、上または下、あるいはどちらも咬んだ時に横にずれている状態のことをいいます。

 

~咬み合わせについての豆知識~

 

■歯並びの矯正治療にはブラケットやマウスピースを用いる

 

不正咬合は、将来的な健康のことも考えて、早めに矯正治療をすることが望ましいと言えます。歯並びの矯正治療は銀色のワイヤー器具を使うという印象のある方が多いようですが、近年は他にも歯並びを治す方法があります。歯の状況に合わせていくつかの方法を併用することもできます。

 

ほとんどの方法が子供だけを対象にした歯並びの矯正治療法ではなく、大人も受けることのできる治療法となっています。口の中の状態に問題がないのなら、高齢でも歯並びの矯正治療をスタートすることができます。

 

①ブラケットによる歯並びの矯正治療

ブラケットとは、歯の装着する器具のことです。歯列矯正治療の印象につきものの銀色のワイヤーをブラケットといいます。歯にワイヤー状のブラケットを装着することにより、徐々に歯を動かし、歯列を調節しながら矯正する治療方法です。

 

近年のブラケット治療では、必ず銀色のワイヤー器具を使うわけではありません。装着しても目立たないセラミックやハイブリッドセラミック、プラスチック、特殊な樹脂(ポリオキシメチレン)のブラケットも登場しています。ブラケット自体もかなり小型化していますので、ブラケットの素材によってはブラケットがほとんど目立ちません。

上下の歯列を一緒に矯正したい場合や、叢生や反対咬合を矯正する場合に向く治療法です。

 

②舌側矯正

ブラケットは基本的に歯の表面に装着します。目立たない素材のブラケットを選んでも、口を大きく開けた時にはどうしても見えてしまいます。歯の色によっては、白系や透明なブラケットでも目立ってしまうことがあります。舌側矯正は、ブラケット器具を歯の裏側に装着して歯並びを治す方法です。

 

歯の裏側なので、矯正器具は見えません。どうしても器具を見られたくない方や、人と接する仕事をしている方はこちらの方法で矯正を進めることもできます。ただし、舌の裏側に装着することによって、舌がぶつかり痛みを感じることがあります。ブラケットで歯並びを治療する場合は、ライフスタイルに合わせて、患者様のご要望をよく確認して治療を進めます。

 

③マウスピースによる歯並びの矯正治療

歯並びを矯正するためのマウスピースを作成し、毎日装着して少しずつ歯列を整える矯正治療法です。歯並びの状態によっては、マウスピースによる歯並びの矯正治療では処置が難しい場合があります。比較的、歯並びの乱れが軽度の方や過去に1度歯列矯正をしている方に向きます。また、周囲に矯正治療をしていることを知られたくない方にも向く治療法です。

 

歯並びの矯正に使うマウスピースは透明な「クリアアライナー」というマウスピースです。マウスピースの他には特に器具を装着する必要がないため、マウスピースを外せば、通常通りのブラッシングも可能です。ブラケットよりも痛みが少ないと言われています。

矯正治療の進み具合に合わせてマウスピースを交換します。基本的にマウスピースのみで歯並びの矯正を進めるため、金属アレルギーのある方にも安心して利用していただくことのできる方法です。

 

赤坂歯科診療所~歯列矯正

■最後に

歯並びは審美に重要な影響を及ぼすだけでなく、健康にも関係する口のトラブルです。歯並びの治療は子供だけでなく、幅広い年代の大人にも受けていただくことのできる治療ばかりです。将来的な健康のため、そしてより良い生活のために、歯並びについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

「自分の歯並びはどうなの?」「自分に合った歯並びの治療法はどれなの?」「自分の年齢でも歯並びを治せる」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。歯はより良い生活のために重要な部位です。将来的な健康も考えて、最適な治療をご案内いたします。

歯列矯正を受ける前に知っておくべき注意点

はじめて歯列矯正を受ける患者様は、不安に感じることが多いようです。歯列矯正は歯を動かして歯並びを治療する方法ですから、「歯を動かす過程に痛みはないの?」「たくさん出血するのではないのか?」「体の他の部位に影響が出たりしないのか?」等のご質問を受けます。また、歯列矯正は基本的に長期に渡る治療です。「どのくらいの治療期間が必要なのか」「会社に通いながら治療することはできるのか」等のご質問もよく受けます。

歯列矯正治療をこれから受診する方のために、歯列矯正治療に対してよく当院が受ける問い合わせや質問事項をまとめました。歯列矯正を受ける前に知っておきたい注意点と共に解説していきます。

■歯列矯正に関してよくあるご質問と注意点

① 歯列矯正は目に見えて歯並びが悪くないと受けられない治療なの?

歯列矯正は「歯を動かして歯並びを美しくする治療」です。また、「歯を動かすことによって、噛み合わせや顎のトラブルなどを総合的に解決する治療」です。

歯列矯正には歯並びを改善するという側面から、審美治療という性質があります。同時に、顎関節症や将来的な歯の割れや歪みを予防する予防歯科という性質もありますし、現実に起きている噛み合わせや顎の歪みを歯並びの面から治療するという、現在の口腔内のトラブルの治療という性質もあります。その患者様がどんな目的で治療するのか、なぜ歯列矯正が必要なのかによって、歯列矯正治療の意味が変わってきます。歯科医院で受ける治療の中でも「色々な性質を持つ治療」が歯列矯正なのです。

 

歯列矯正は、具体的に「歯並びの見た目が悪いから」という理由がなければ歯列矯正治療を受けることができないわけではありません。「見た目からはわからないけれど、ちょっと食べ物が噛み難い」「将来的な顎関節症や歯の折れ、割れを予防したい」などの理由でも、歯列矯正治療を受けていただくことができます。

自分の歯列に歯列矯正治療が必要かどうかは、歯科医院を受診していただくことにより、歯科医師からアドバイスを受けることができます。また、口周りの痛みやだるさ、肩こりや頭痛などの不調が相次いでいる場合は、歯列矯正で歯並びを改善すると、症状が緩和されるケースがあります。不調の治療がわからないという方は、歯科治療の側面からアプローチすることを検討するため、まずは歯科医師による診察を受けることをお勧めします。

② 歯列矯正は子供の頃に受けるという話を聞くのですが

審美、口腔内トラブル、予防をセットにした歯列矯正は、大人・子供に関わらず受けていただくことのできる治療です。子供の時の歯列矯正は医療費控除の対象になる(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1128.htm)ために費用面で子供の頃の歯列矯正治療がお得と言われるため、そして早めの治療によって口腔内や顎のトラブルを未然に防ぐことができる可能性があるため、「子供の頃に(早めに)」と言われるのです。歯列矯正は子供だけでなく、大人が受けてもまったく問題のない治療です。

たまに「大人になると歯が完成されてしまって動かすことができないと聞いた」という患者様がいらっしゃいます。大人だから歯を動かすことが難しいというわけではありません。心配する必要はありません。

③ 歯列矯正治療は痛いのですか?出血はしますか?

歯列矯正を受ける患者様はよく「痛みはどうですか?」「出血はどのくらいしますか?」と心配なさいます。歯列矯正治療は「歯を動かす治療」ですから、心配になる気持ちも理解できます。しかし、それほど深刻に考える必要はありません。もちろん、他の部位に害を及ぼすこともありません。歯科医師が細心の注意を払いながら治療を行います。

まず痛みですが、こちらは多少あります。歯列矯正は歯を無理やり動かす治療法だと勘違いされがちです。その想像は間違いです。歯列矯正は、体の回復や再生のプロセスを利用し、ゆっくりと歯を動かす治療法です。現在の顎や歯肉、歯を無理やり金具でぐいぐい押し込んで固定するといった治療法ではありません。

歯と歯の周囲の組織を壊して、その再生力を利用して場所を動かすという治療のプロセス上、どうしても鈍痛を覚えることもありますが、患者様の多くは「治療に慣れてくると気にならない」とおっしゃいます。ブラケットを使った歯列矯正を受けている患者様の中には「器具を見て痛みを覚悟していたが、心配する必要はなかったようだ」「最初の頃は痛みより器具が口の中にある違和感の方が・・・」という方もいらっしゃいます。

歯列矯正中に痛みなどが発生した場合は、歯科医師に相談していただくことにより処置が可能です。治療の際に注意点として痛みや違和感対策もしっかりお話しますので、過剰に心配する必要はありません。治療を受ける患者様がお子様の場合は、もちろんご両親にしっかりと説明させていただきます。

また、よく「出血は?」と心配なさる患者様がいらっしゃいます。歯列矯正では、大急ぎで歯を動かすということはありませんので、一度の治療で体に無理をさせて、血がたくさん出るということもありません。ただし、まったく出血しないというわけではありません。例えば歯列矯正をはじめてすぐの頃は、口腔内の状況によって多少の出血が見られることがあります。歯茎が弱っていたりすると、歯ブラシでも出血することがあります。だからこそ、ちょっとした治療でも出血することはよくあることなのです。

歯列矯正治療をする前に、必ず口腔内の状況をチェックします。虫歯や歯肉炎などのトラブルがあれば、歯列矯正の前に「歯列矯正をしても大丈夫なお口の中の状態にする」ために、歯科医師が処置を行います。口の中を健康に回復させて、急激に歯を動かしたりしない。だからこそ、無理な治療で大量出血ということはありませんので、心配なさる必要はありません。

体や痛み、出血のことで心配な方は、過去の症例を含めて事前説明が可能です。歯列矯正は期間の長い治療ですので、しっかりと不安を解消して治療に臨むことが大切です。

④ 歯列矯正の方法とは?マウスピースによる歯列矯正

歯列矯正には、主に二つの方法があります。「マウスピースによる治療」と「ブラケットによる治療」です。

一つは、マウスピースを使った歯列矯正方法です。歯並びに合わせてマウスピースを作成し、そのマウスピースを装着することにより、少しずつ歯列を動かして矯正します。

この方法のメリットは、「歯列矯正装置であるマウスピースを常に装着している必要がない」という点です。家事の合間や寝る前のテレビや読書の時間などに、少しだけ装着するだけでいいので、非常にストレスが少ないです。また、常にマウスピースを装着している必要がないため、会社や学校で歯列矯正中だとバレることがありません。常に装着している必要がないため、ブラッシングもしっかりでき、口腔内の衛生環境にも配慮することができるというメリットもあります。

対してデメリットは「忘れてしまうこと」や、「歯並びの状況によっては使うことができない」というものです。売僧ピースは常時装着ではありませんから、自分で忘れないように毎日少しの時間装着しなければいけません。すると、「あ、うっかり忘れていた」ということが起きる可能性があります。装着を忘れると、それだけ治療に長い期間を要します。時に、それまでの治療が無意味になってしまうことがあります。

歯並びの状況を歯科医師が診断し、マウスピースを使うことが難しいと判断した場合もマウスピースによる歯列矯正をすることができないというデメリットがあります。例えば、極端に歯並びが乱れている場合や、歯並びだけでなく顎の骨が乱れている場合などは、別に治療法を試みることや、先に他の治療をしっかりして、そちらの治療に合わせて歯並びを考えることが重要になります。マウスピースは、比較的歯列の乱れが軽度である場合によく使われる方法でもあります。

⑤ 歯列矯正の方法とは?ブラケットによる歯列矯正

ブラケットによる歯列矯正とは、ブラケットという装置を歯に装着し、歯列の乱れを治療する方法です。皆さんは身近で歯にワイヤーのようなものを装着した人を目にしたことはありませんか。一般的に多くの人が歯列矯正といえば銀色のワイヤーを歯に装着するという想像をするようです。まさに、その想像のもとになったのがこのブラケット治療なのです。歯列矯正の中では最も広く認知されていて、最も有名で一般的なのがこのブラケット治療です。

ブラケット治療には「治療中は歯に装置をつけっぱなしにしなければいけない」というデメリットがあります。歯列矯正中は常時装着のため、審美面で気にする方がいます。また、歯列矯正中だとバレます。そういった点を気にする方用に透明で目立たないブラケットもありますので、治療に入る前にしっかりと歯科医師と相談しておくことが必要です。

常時装着することにより、歯を含む口腔内のケアがし難いという特徴があります。ブラケットをつけているため歯磨きし難く、汚れが残ってしまうことがあるため、口腔内の衛生環境が低下したり、虫歯になったりするリスクがあります。歯列矯正治療の中でお口のケアもしっかり説明しますが、装置をつけっぱなしにするため、お口のトラブルが発生しやすい状況であることを注意する必要があります。

ブラケット治療のメリットは、「歯列の大きな乱れにも使うことができる」という点です。時にインプラントや抜歯などの他の治療法と併用することもありますが、ブラケット治療はマウスピース治療では対応できないと判断された歯列の乱れも治療できることが多いです。

歯列矯正治療の中でも治療法の希望がある場合は、歯科医師にその旨をはっきりお伝えください。お口の状況や顎の状況を確認し、「その治療法を使っても治療できるか」「その治療法を使うことを前提にお口の中の健康を保つためにはどうすべきか」を歯科医師がしっかりと口腔内を診察した上でアドバイスさせていただきます。

■最後に

歯列矯正をする際に注意しておきたいのは「疑問があったらはっきりと確認する」「不安があったら歯科医師に相談する」ということです。今回ご説明した疑問は、歯列矯正に対して多くの方が持つ疑問です。疑問を抱えたまま歯列矯正を進めると、治療中も不安です。時に、医師や治療に対し不信感を持ってしまうこともあるでしょう。

歯列矯正を受ける前に知っておくべき第一のことは「相談、確認をしっかり」ということです。今回取り上げていない疑問や不安を持っていらっしゃる方や、さらに確認したいという方は、お気軽に当院までご相談ください。過去の症例や具体例を用いて、皆様の歯列矯正に対する不安や疑問を解消いたします。