歯列矯正を受ける前に知っておくべき注意点

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はじめて歯列矯正を受ける患者様は、不安に感じることが多いようです。歯列矯正は歯を動かして歯並びを治療する方法ですから、「歯を動かす過程に痛みはないの?」「たくさん出血するのではないのか?」「体の他の部位に影響が出たりしないのか?」等のご質問を受けます。また、歯列矯正は基本的に長期に渡る治療です。「どのくらいの治療期間が必要なのか」「会社に通いながら治療することはできるのか」等のご質問もよく受けます。

 

歯列矯正治療をこれから受診する方のために、歯列矯正治療に対してよく当院が受ける問い合わせや質問事項をまとめました。歯列矯正を受ける前に知っておきたい注意点と共に解説していきます。

 

■歯列矯正に関してよくあるご質問と注意点

 

  • 歯列矯正は目に見えて歯並びが悪くないと受けられない治療なの?

 

歯列矯正は「歯を動かして歯並びを美しくする治療」です。また、「歯を動かすことによって、噛み合わせや顎のトラブルなどを総合的に解決する治療」です。

 

歯列矯正には歯並びを改善するという側面から、審美治療という性質があります。同時に、顎関節症や将来的な歯の割れや歪みを予防する予防歯科という性質もありますし、現実に起きている噛み合わせや顎の歪みを歯並びの面から治療するという、現在の口腔内のトラブルの治療という性質もあります。その患者様がどんな目的で治療するのか、なぜ歯列矯正が必要なのかによって、歯列矯正治療の意味が変わってきます。歯科医院で受ける治療の中でも「色々な性質を持つ治療」が歯列矯正なのです。

 

歯列矯正は、具体的に「歯並びの見た目が悪いから」という理由がなければ歯列矯正治療を受けることができないわけではありません。「見た目からはわからないけれど、ちょっと食べ物が噛み難い」「将来的な顎関節症や歯の折れ、割れを予防したい」などの理由でも、歯列矯正治療を受けていただくことができます。

 

自分の歯列に歯列矯正治療が必要かどうかは、歯科医院を受診していただくことにより、歯科医師からアドバイスを受けることができます。また、口周りの痛みやだるさ、肩こりや頭痛などの不調が相次いでいる場合は、歯列矯正で歯並びを改善すると、症状が緩和されるケースがあります。不調の治療がわからないという方は、歯科治療の側面からアプローチすることを検討するため、まずは歯科医師による診察を受けることをお勧めします。

 

  • 歯列矯正は子供の頃に受けるという話を聞くのですが

 

審美、口腔内トラブル、予防をセットにした歯列矯正は、大人・子供に関わらず受けていただくことのできる治療です。子供の時の歯列矯正は医療費控除の対象になる(国税庁HP)ために費用面で子供の頃の歯列矯正治療がお得と言われるため、そして早めの治療によって口腔内や顎のトラブルを未然に防ぐことができる可能性があるため、「子供の頃に(早めに)」と言われるのです。歯列矯正は子供だけでなく、大人が受けてもまったく問題のない治療です。

 

たまに「大人になると歯が完成されてしまって動かすことができないと聞いた」という患者様がいらっしゃいます。大人だから歯を動かすことが難しいというわけではありません。心配する必要はありません。

 

  • 歯列矯正治療は痛いのですか?出血はしますか?

 

歯列矯正を受ける患者様はよく「痛みはどうですか?」「出血はどのくらいしますか?」と心配なさいます。歯列矯正治療は「歯を動かす治療」ですから、心配になる気持ちも理解できます。しかし、それほど深刻に考える必要はありません。もちろん、他の部位に害を及ぼすこともありません。歯科医師が細心の注意を払いながら治療を行います。

 

まず痛みですが、こちらは多少あります。歯列矯正は歯を無理やり動かす治療法だと勘違いされがちです。その想像は間違いです。歯列矯正は、体の回復や再生のプロセスを利用し、ゆっくりと歯を動かす治療法です。現在の顎や歯肉、歯を無理やり金具でぐいぐい押し込んで固定するといった治療法ではありません。

 

歯と歯の周囲の組織を壊して、その再生力を利用して場所を動かすという治療のプロセス上、どうしても鈍痛を覚えることもありますが、患者様の多くは「治療に慣れてくると気にならない」とおっしゃいます。ブラケットを使った歯列矯正を受けている患者様の中には「器具を見て痛みを覚悟していたが、心配する必要はなかったようだ」「最初の頃は痛みより器具が口の中にある違和感の方が・・・」という方もいらっしゃいます。

 

歯列矯正中に痛みなどが発生した場合は、歯科医師に相談していただくことにより処置が可能です。治療の際に注意点として痛みや違和感対策もしっかりお話しますので、過剰に心配する必要はありません。治療を受ける患者様がお子様の場合は、もちろんご両親にしっかりと説明させていただきます。

 

また、よく「出血は?」と心配なさる患者様がいらっしゃいます。歯列矯正では、大急ぎで歯を動かすということはありませんので、一度の治療で体に無理をさせて、血がたくさん出るということもありません。ただし、まったく出血しないというわけではありません。例えば歯列矯正をはじめてすぐの頃は、口腔内の状況によって多少の出血が見られることがあります。歯茎が弱っていたりすると、歯ブラシでも出血することがあります。だからこそ、ちょっとした治療でも出血することはよくあることなのです。

 

歯列矯正治療をする前に、必ず口腔内の状況をチェックします。虫歯や歯肉炎などのトラブルがあれば、歯列矯正の前に「歯列矯正をしても大丈夫なお口の中の状態にする」ために、歯科医師が処置を行います。口の中を健康に回復させて、急激に歯を動かしたりしない。だからこそ、無理な治療で大量出血ということはありませんので、心配なさる必要はありません。

 

体や痛み、出血のことで心配な方は、過去の症例を含めて事前説明が可能です。歯列矯正は期間の長い治療ですので、しっかりと不安を解消して治療に臨むことが大切です。

 

  • 歯列矯正の方法とは?マウスピースによる歯列矯正

 

歯列矯正には、主に二つの方法があります。「マウスピースによる治療」「ブラケットによる治療」です。

 

一つは、マウスピースを使った歯列矯正方法です。歯並びに合わせてマウスピースを作成し、そのマウスピースを装着することにより、少しずつ歯列を動かして矯正します。

 

この方法のメリットは、「歯列矯正装置であるマウスピースを常に装着している必要がない」という点です。家事の合間や寝る前のテレビや読書の時間などに、少しだけ装着するだけでいいので、非常にストレスが少ないです。また、常にマウスピースを装着している必要がないため、会社や学校で歯列矯正中だとバレることがありません。常に装着している必要がないため、ブラッシングもしっかりでき、口腔内の衛生環境にも配慮することができるというメリットもあります。

 

対してデメリット「忘れてしまうこと」や、「歯並びの状況によっては使うことができない」というものです。売僧ピースは常時装着ではありませんから、自分で忘れないように毎日少しの時間装着しなければいけません。すると、「あ、うっかり忘れていた」ということが起きる可能性があります。装着を忘れると、それだけ治療に長い期間を要します。時に、それまでの治療が無意味になってしまうことがあります。

 

歯並びの状況を歯科医師が診断し、マウスピースを使うことが難しいと判断した場合もマウスピースによる歯列矯正をすることができないというデメリットがあります。例えば、極端に歯並びが乱れている場合や、歯並びだけでなく顎の骨が乱れている場合などは、別に治療法を試みることや、先に他の治療をしっかりして、そちらの治療に合わせて歯並びを考えることが重要になります。マウスピースは、比較的歯列の乱れが軽度である場合によく使われる方法でもあります。

 

  • 歯列矯正の方法とは?ブラケットによる歯列矯正

 

ブラケットによる歯列矯正とは、ブラケットという装置を歯に装着し、歯列の乱れを治療する方法です。皆さんは身近で歯にワイヤーのようなものを装着した人を目にしたことはありませんか。一般的に多くの人が歯列矯正といえば銀色のワイヤーを歯に装着するという想像をするようです。まさに、その想像のもとになったのがこのブラケット治療なのです。歯列矯正の中では最も広く認知されていて、最も有名で一般的なのがこのブラケット治療です。

 

ブラケット治療には「治療中は歯に装置をつけっぱなしにしなければいけない」というデメリットがあります。歯列矯正中は常時装着のため、審美面で気にする方がいます。また、歯列矯正中だとバレます。そういった点を気にする方用に透明で目立たないブラケットもありますので、治療に入る前にしっかりと歯科医師と相談しておくことが必要です。

 

常時装着することにより、歯を含む口腔内のケアがし難いという特徴があります。ブラケットをつけているため歯磨きし難く、汚れが残ってしまうことがあるため、口腔内の衛生環境が低下したり、虫歯になったりするリスクがあります。歯列矯正治療の中でお口のケアもしっかり説明しますが、装置をつけっぱなしにするため、お口のトラブルが発生しやすい状況であることを注意する必要があります。

 

ブラケット治療のメリットは、「歯列の大きな乱れにも使うことができる」という点です。時にインプラントや抜歯などの他の治療法と併用することもありますが、ブラケット治療はマウスピース治療では対応できないと判断された歯列の乱れも治療できることが多いです。

 

歯列矯正治療の中でも治療法の希望がある場合は、歯科医師にその旨をはっきりお伝えください。お口の状況や顎の状況を確認し、「その治療法を使っても治療できるか」「その治療法を使うことを前提にお口の中の健康を保つためにはどうすべきか」を歯科医師がしっかりと口腔内を診察した上でアドバイスさせていただきます。

■最後に

 

歯列矯正をする際に注意しておきたいのは「疑問があったらはっきりと確認する」「不安があったら歯科医師に相談する」ということです。今回ご説明した疑問は、歯列矯正に対して多くの方が持つ疑問です。疑問を抱えたまま歯列矯正を進めると、治療中も不安です。時に、医師や治療に対し不信感を持ってしまうこともあるでしょう。

 

歯列矯正を受ける前に知っておくべき第一のことは「相談、確認をしっかり」ということです。今回取り上げていない疑問や不安を持っていらっしゃる方や、さらに確認したいという方は、お気軽に当院までご相談ください。過去の症例や具体例を用いて、皆様の歯列矯正に対する不安や疑問を解消いたします。

 

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